1-2. 日本の働き方の原点 - 思想・思考に見る日本の働き方 ~ なぜ忖度するのか

日本固有の社会的正当性(社会共通で醸成されている暗黙的合意。倫理観・価値観など)はどのように形成され、働き方にどのように影響しているのでしょうか。 

気候・風土・土地・食・宗教・・・社会的正当性は多くの要素に影響を受け、社会的正当性は働き方にも影響を与えています。 

思想・思考の観点から見た日本の働き方を考察したいと思います。 

 

<西洋的な思想・思考=ギリシャ哲学> 

古代ギリシャ時代に確立したギリシャ哲学は西洋の思想の根底となっています。 

その原点は、狩猟・牧畜・漁・貿易に適した国土で、他者との協力をあまり必要とせず、その経済活動は共同体に定住していなくても行うことができます。そして、多くの都市国家(メトロポリス)がその規模・優位性を競い、住民はよりよい暮らしのできるメトロポリスでの生活を求めることができました。 

”自分の人生を自分で選択したまま生きる”。その大切な選択を行うために、周囲から切り離された対象物それ自体を単独で観察し分析する分析的思考が発展した。 

すなわち、サル・笹・バナナ・パンダを、動物(サル・パンダ)と植物(笹・バナナと分類することが西洋的な思想・思考の原点となっています。 

 

そのような西洋的思想・思考のもとで欧米を中心とする企業では 

  ロジカルな比較分析による迅速な意思決定 

といった働き方の定着の一要因となった。 

 

< 東洋的な思想・思考=儒教>  

稲作を中心とする東洋・中国ではお互いに協力しあい、土地を耕す必要がある。 

個人は何よりもまず、氏族や村落、家族といった「集合体の一員」であり、そんな環境で成立した家族・村・社会を大切にする儒教では、協調性がとりわけ重要でした。 

そして、互いの関係性に目を向け、その関係性の発展に重点を置く、包括的思考(対象周囲の関係性も含める=全体を見渡す)が発展しました。 

すなわち、サル・笹・バナナ・パンダを、サル+バナナ、パンダ+笹という関係性に着目する東洋的な思想・思考の原点となっています。 

 

そのような東洋的思想・思考のもとで日本の企業では 

  包括的な分析、時には忖度・空気を読んだ意思決定 

といった働き方の定着の一要因となった。 

 

 

<主な参考文献>